杭の偽装事件が残した爪痕

 

 

横浜のマンションが傾いた事件は、衝撃でしたね。

地盤補強のための杭が支持地盤に届いていないという致命的な偽造でしたが、

長年、住宅の検査に携わってきた私自身も驚きを隠せなかったです。

 

この事件になったマンションでも、建築基準法にのっとった中間検査、竣工検査、また住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)による数回における検査が行われているはずですが、杭施工報告書の数値が偽造された数値だとは、誰も思いもしなかったと思います。

なぜなら、支持地盤への杭打ちがどれほど大切な物か、間違いがあればどのような事になるか知っているからです。そのような事を偽造して、誰も得をしないからです。

 

今回の事件が残した爪痕は、ほかにもあります。それは、建築業界における不信感の増大です。

平成17年の耐震偽装事件をきっかけに、建設業界に対する不信感は増大しました。

確認申請の厳格化・複雑化による現場の混乱や申請件数の激減など、多数の苦難を乗り越えて、多くの建設業従事者は建設業界の信頼回復に努力してきました。

 

しかし、今回の事件でまた振出しに戻ってしまったように思われます。

 

現在、多くの不安をあおる情報が錯綜し、また自分の住宅は大丈夫かと不安になることもあると思います。

しかし、杭が支持地盤に到達していないような施工が一般的ではないのは、多くのマンションが築30年以上たっても、東日本大震災のあとでも傾いていないことを見れば容易に理解できると思います。

どうか冷静に、事件の調査を見守っていただきたいと思います。